研究成果について説明する古本准教授
広島大学大学院理学研究科古本強准教授、嶋村正樹助教らを中心とする研究グループは、葉緑体の包膜に存在するピルビン酸輸送体分子を同定することに世界で初めて成功しました。
この分子は、植物の脂質合成やC4光合成において重要な働きを担っており、脂質合成の盛んな植物やC4光合成を模した高い光合成能力を持つ植物を開発するための鍵因子と考えられています。ところが、ピルビン酸を輸送する活性を測定することが難しく、これまで分子実体は明らかにされてきませんでした。
本研究によりその遺伝子およびタンパク質が明らかになったことで、植物の基礎代謝について分子のレベルで検証することができるようになります。この基礎知見は、植物の代謝能力の産業利用、例えばバイオエタノールやバイオディーゼルをより効率よく産出できる植物の開発につながるほか、新規農薬開発のターゲットとしても利用できると期待されます。
この研究成果は、英国科学学術誌Natureの2011年8月25日号に掲載されました。
■論文タイトル:A plastidial sodium-dependent pyruvate transporter
(邦訳:葉緑体に存在するナトリウム依存性ピルビン酸輸送体)
■著者:古本強(責任著者)、山口鉄平、大島(市江)裕美子、中村匡良、土田(岩田)良子、嶋村正樹、大西純一、畑信吾、Udo Gowik、
Peter Westhoff、Andrea Brutigam、Andreas P.M. Weber、泉井桂
本学ではNature掲載に先立ち、8月22日(月)に記者会見を開催し、この研究成果を発表しました。記者会見では古本准教授より研究成果の概要、今後の展開等が説明され、集まった報道陣からは多数の質問が寄せられました。
下部のリンクより記者会見時に配布した資料をダウンロードできます。
研究成果の概要:PDFファイル(1.84MB)
解説資料:PDFファイル(2.88MB)
【お問い合わせ先】
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