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[研究成果]スピントロニクス材料研究でブレイクスルー



広島大学放射光科学研究センター 宮本幸治助教、奥田太一准教授らの研究グループは、新奇トポロジカル絶縁体の表面上に質量ゼロで高速に移動する新しい電子を発見し、その電子の運動状態をスピンも含めて可視化することに世界で初めて成功しました。次世代の超高速コンピュータの開発を一層加速させると期待されます。

9月12日(水)東京オフィスで記者説明会を開催し発表しました。

この研究成果は、近く米国の科学雑誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載されます。

記者会見の様子の画像

記者会見の様子

研究成果を説明する宮本助教

2つのブレイクスルーでスピントロニクスデバイス研究に大きな前進

【ブレイクスルー:その1】

今回世界で初めて実用化に成功した新しいスピン分析技術(高効率スピン角度分解光電子分光装置)は、スピン検出器のターゲットを非磁性体の金から純酸素による保護膜を付けた強磁性体に変えることで、スピン検出感度を大幅にアップしました。従来は1万分の1であった検出感度を、この新たな方法で100倍向上させることに成功しました。

この新たな方法は、本学の放射光科学研究センターで独自に開発したもので、高速に動く電子のエネルギー、運動量、スピン分布の解明が可能となりました。

【ブレイクスルー:その2】

質量ゼロの電子は今までにも発見され、次世代の大容量超低消費電子デバイス技術であるスピントロニクスの材料として注目されていますが、今回の新奇トポロジカル絶縁体は、既存のトポロジカル絶縁体とは比較にならないほどの高いスピン配列度を持つことがわかりました。

新奇トポロジカル絶縁体「ビスマステルルセレナイド」「ビスマスセレンテルライド」の表面上の電子は、あるエネルギーよりも高い場合と低い場合の両方でスピン配列していることを解明しました。スピン配列度は、高い場合で80%、また低い場合で60%であり、既存のトポロジカル絶縁体はあるエネルギーよりも高い場合しかスピンが配列しておらず、その配列度も20%程度しか持たないことから、新奇トポロジカル絶縁体が、スピン配列が極めて高く理想的な質量ゼロ電子であることが判明しました。今後、電子スピンを利用した次世代の大容量超低消費電力デバイスの開発への応用ができると期待されます。

【お問い合わせ先】

(研究に関すること)

放射光科学研究センター

宮本 幸治

Tel:082-424-6297(続いて310)

Mail:kmiyamoto*hiroshima-u.ac.jp

(*は半角@に置き換えてください)

(記事に関すること)

広島大学学術・社会産学連携室広報グループ

Tel:082-424-6017

E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp

(*は半角@に置き換えてください)


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