広島大学大学院生物圏科学研究科 加藤範久教授(日本食・発酵食品の革新的研究拠点)は、天野エンザイム株式会社との共同研究により、米麹菌(Aspergillus oryzae)から産生される酸性プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が腸内ビフィズス菌を著しく増加させる因子であることを発見しました。
これまで、麹菌発酵ごぼうや米麹が腸内のビフィズス菌を増加させる現象は、加藤教授らによって確認されていました。しかしどのように作用しているかは、明らかではありませんでした。今回の発見は、麹菌プロテアーゼの健康への直接の効能を初めて示すもので、麹菌発酵食品の効能を探る上で全く新たな突破口を開くものです。
6月9日、キャンパス・イノベーションセンター(東京都港区)で、記者説明会を開催しました。
説明を行う加藤教授(左) |
【本研究成果のポイント】
・米麹菌から産生される酸性プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が、腸内の善玉菌であるビフィズス菌を著しく増加させる成分であることを、ラットを使い初めて証明しました。
・今回明らかにした米麹菌の酸性プロテアーゼは、プレバイオテックス(大腸で善玉菌の栄養源となる)としてよく知られている「オリゴ糖」などとは作用機構が全く異なると推測され、しかもはるかに少量でビフィズス菌を増加させることも明らかになりました。
・麹菌は、味噌や漬物、清酒など日本古来の発酵食品の製造に広く利用させています。今後、麹菌由来のプロテアーゼを利用した腸内環境を改善する機能性食品や、新たな医薬品などの開発への応用も期待されます。
【研究に関するお問い合わせ先】
広島大学大学院生物圏科学研究科 教授 加藤範久(かとう のりひさ)
Tel:082-424-7980
E-mail:nkato※hiroshima-u.ac.jp(※は@に置き換えてください)