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【研究成果】カエルのアルビノ(白子)に特有の遺伝子変化を同定 〜トノサマガエルなど国内3種を解析〜

本研究成果のポイント

  • 国内3種のカエルのアルビノについて、その原因となる遺伝子の変化を両生類で初めて明らかにしました
  • ヒトやマウスのアルビノとは異なり、カエル独自の遺伝子変化が見つかりました

概要

広島大学の三浦郁夫准教授および国内動物園・水族館(世界淡水魚園水族館アクア・トト ぎふ、東山動物園、横浜市繁殖センター)の共同研究者は、3種のカエル(トノサマ、ツチ、ヌマ)のアルビノ注1)について、色素欠損の原因となるチロシナーゼ注2)遺伝子の変化を同定しました。その変化は、ヒトやマウスでこれまでに知られている変化のいずれとも異なることがわかりました。特に、3カ所の異なる地域で発見されたトノサマガエルのアルビノでは、遺伝子部分の欠失や挿入が生じており、他のカエル2種とは異なる特徴を示しました。今回の遺伝子解析は、カエルを含む両生類では初めてとなります。本成果により、野生のカエルを用いた研究の積み重ねが、ヒトの遺伝子疾患や製品開発等の応用研究に貢献する可能性が示されました。この研究成果は、2017年6月30日に、日本遺伝学会の学会誌「Genes & Genetic Systems」のオンライン版に掲載されました。

■用語解説
(注1)アルビノ
皮膚や眼の色素細胞に存在する黒い色素のメラニンを欠く個体のこと。ヒトでは先天性色素欠乏症と呼ばれ、同様の現象は様々な動物で見つかっている。

(注2)チロシナーゼ
メラニンを合成する鍵となる酵素。この酵素が欠損するとメラニンが作られず、アルビノとなる。
 

カエルのアルビノ
a. トノサマガエル(正常) b. トノサマガエルのアルビノ(熊本市)
c. ツチガエルのアルビノ d. ヌマガエルのアルビノ

三浦郁夫准教授からのコメント

動物園・水族館と大学のコラボの成果です。
水田などで毎年のように見つかる野生ガエルのアルビノですが、その情報の多くは動物園・水族館に寄せられます。今回、そこに大学の研究が加わりました。そして、ヒトやマウスの研究では得難い、ユニークな遺伝情報が見つかりました。殊の外、野生ガエルは生物学、医学の研究に貢献できるかもしれません。

三浦 郁夫 准教授

論文情報

掲載雑誌:Genes & Genetic Systems

論文題目:
Spontaneous tyrosinase mutations identified in albinos of three wild frog species
(野生ガエル3種のアルビノで同定されたチロシナーゼ遺伝子の突然変異)

著者:
Ikuo Miura   (広島大学)
Masataka Tagami (世界淡水魚水族館アクアトト・ぎふ)
Takeshi Fujitani (東山動物園)
Mitsuaki Ogata  (横浜市繁殖センター)

第一著者 Ikuo Miura (Hiroshima University)
責任著者 Ikuo Miura (Hiroshima University)

DOI番号:http://doi.org/10.1266/ggs.16-00061

【お問い合わせ先】

両生類研究センター
准教授 三浦 郁夫

TEL:082-424-7323
FAX:082-424-0739
E-mail:imiura*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)


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