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【研究成果】ボルネオ島に生息する夜行性食肉目動物6種類がほぼ同じ時間帯に活動することを初めて確認~エコツーリズムが影響を与えている可能性も~

本研究成果のポイント

  • 2010年から2016年の間に、ボルネオ島の3つの調査地で合計70台の自動撮影カメラを設置して、食肉目動物が撮影された時間をもとに、各種の活動時間帯と、その重複の程度を明らかにした。
  • その結果、活動時間帯を違えることで競合を避ける「時間的すみ分け」が見られる近縁種(ネコ科)もあれば、活動時間帯がほぼ完全に重複するもの(ジャコウネコ科)もあることが分かった。
  • 動植物に配慮したエコツーリズム(注1)と称していても、野生動物がアクティビティの時間中の活動を抑制するなど、行動に悪影響を与えている可能性が示唆された。

概要

 広島大学大学院先進理工系科学研究科理工学融合プログラムの中林雅助教(専門:動物生態学、熱帯生態学)らの研究グループは、ボルネオ島の食肉目動物9種の活動時間帯を分析することで、基礎生態情報の解明と共存メカニズムを考察した。そして、ボルネオ島は他地域と比較すると夜行性の食肉目動物の種数が多いことと、明確に時間的にすみ分ける同じ科に属する近縁種もいれば、まったく同じ時間帯に活動する近縁種もいることを明らかにした。本研究の結果は、生物多様性ホットスポットのひとつであるボルネオ島の生物多様性の高さの謎を解明する手がかりとなった。

本研究成果は、Scientific Reportsに、2021年10月6日18時(日本時間)に掲載されました。

図1 撮影された食肉目動物の一部。

左上から右下に:マレーグマ、マーブルドキャット、マレーヤマネコ、ビロードカワウソ、キエリテン、オビリンサン、ビントロング、パームシベット、マレーシベット
 

図2 本研究での活動時間帯に基づく日周活動性の定義
 

用語解説

(注1) エコツーリズム:自然や文化など地域固有の魅力を観光資源として、その保全と持続可能な利用を目指す旅行の仕組み。

論文情報

  • 掲載誌: Scientific Reports
  • 論文タイトル: Temporal activity patterns suggesting niche partitioning of sympatric carnivores in Borneo, Malaysia
  • 著者名: Miyabi Nakabayashi*, Tomoko Kanamori, Aoi Matsukawa, Joseph Tangah, Augustine Tuuga, Peter Titol Malim, Henry Bernard, Abdul Hamid Ahmad, Ikki Matsuda, Goro Hanya (*責任著者)
  • DOI: 10.1038/s41598-021-99341-6
【お問い合わせ先】

大学院先進理工系科学研究科
理工学融合プログラム開発科学分野
助教 中林 雅
Tel:082-424-6930
E-mail:miyabi.nakabayashi*gmail.com
(注: *は半角@に置き換えてください)


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