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【地域に飛びだす!広大生】カードゲームから広がる学びと交流の輪 ——『ひとあそび。』の挑戦

(左から:松浦さん、小川さん)

オリジナルのカードゲームの制作から始まり、さまざまなアナログゲームを通して、多様な交流の場を生み出してきた『ひとあそび。』のお二人。大学生活から芽吹いた活動は、学童や公民館、子ども食堂など、多くの場へと広がっています。「やりたい!」という気持ちが、さらなる成長や出会いへとつながる──。そんな想いを形にし続けてきた代表の小川 芙幸さん(教育学部第五類教育学系コース4年)、副代表の松浦 美穂さん(同4年)に、これまでの活動と、これからの目標を伺いました。

お二人がカードゲーム制作を始めたきっかけは?

小川さん)もともと、大学にいるうちに「何かに熱中して取り組みたい」「形に残るものをつくりたい」という共通の想いがありました。そうした中で、「自分たちが楽しめて、多くの人たちも楽しめるものを」という発想から、カードゲームづくりを思いつきました。きっかけとなったのが、私からの発案で、2人で自費制作をした『デスアパレセ』という心理戦カードゲームです。友人や知人、スクールカウンセラーの方々から好評をいただき、「カードゲームの制作」という活動そのものに、多くの方が関心や共感を示してくださることが、活動を続けていく大きな後押しとなりました。
 

子ども向けの学習用カードゲームをつくり始めた経緯は?

松浦さん) 2人とも、「子どもたちと関わる活動がしたい」「自分たちのカードゲームを、より多くの人たちに楽しんでもらえたら」という想いを抱いていました。また、当時、ボランティアなどを通じて子どもたちと接する中で、家庭環境などによる知識の偏りを感じていました。特に都道府県の知識は、旅行経験など家庭の影響を大きく受けるのではないかと思うようになり、自分たちの教育学部での学びを活かして、子どもたちが遊びながら楽しく都道府県について学べるカードゲームをつくろうと考えました。
そんなときに出会ったのが、「東広島市・学生発スタートアップチャレンジ事業」(※)です。この事業を知り、学習用カードゲームのアイデアで応募してみようと決意しました。

2023年8月、同事業への応募のタイミングで『ひとあそび。』という名前で活動をスタートし、無事採択となりました。『ひとあそび。』という名前には、3つの想いを込めました。1つ目は、「人生は楽しく、遊び心を持っていたほうがいい」という考え。2つ目は、「ひとやすみ」と同じように“少しの”という意味を込めて、家族でアナログゲームを囲む時間は人生の中ではほんのひとときかもしれないけれど、その一瞬を大切にしたいという想い。3つ目は、アナログゲームは1人ではできない遊びだからこそ、「人」と一緒に「遊ぶ」ことで生まれる、楽しさにあふれた空間や時間を大切にしたいという願いです。

こうした想いのもと、スタートアップ事業でのご支援により、『遊んで覚える!都道府県マルチゲーム5』と『はじめてふれる!とどうふけんカード』という2種類の学習用ゲームが誕生しました。前者は中高学年向けに、名物カードなどを使ったかるたやすごろくなどのミニゲームで楽しく学べる内容、後者は幼児〜低学年向けに、遊びながら都道府県に親しめる入門的なカードゲームで、オンラインやイベントでの販売を行っています。

※広島大学および東広島市予算を原資に、東広島市に立地する広島大学・近畿大学工学部・広島国際大学の学部生・院生が、自身のビジネスアイデアや起業家意識を具体化・実践することを支援する事業。

カードゲーム制作から、アナログゲームの体験イベント開催へ発展した理由は?

「ひとあそび。」の活動の原点には、「みんなが楽しめる『やりたい!』という気持ちをつくりたい」「楽しみながら学びにつなげたい」という想いがあります。
そうした中で、自分たちのカードゲームだけではできることが限られると感じるようになり、市販のアナログゲームも交えながら、もっとたくさんの子どもたちや大人の皆さんが一緒に楽しめる場をつくりたいと考えました。これまで、東広島キャンパス内のMIRAI CREAの活動をはじめ、学童・子ども食堂・子育てサークルなどでの出張イベントや、町家などでの主催イベントを通して、のべ2,000人以上の方々とゲームを楽しんできました。最近は、「算数」「社会」「理科」など科目の内容に関連したゲームも開催しているほか、地域センターなどで大人の方向けに出張イベントをする機会をいただくこともあり、皆さんの交流の場として良い機会と好評をいただいています。
 

学内外で体験イベントを実施

イベントにはアナログゲームがずらり

お二人が活動から得ているものは?

松浦さん) これまで、学童・子ども食堂・公民館など、さまざまな場所で活動してきました。子どもたちから「また来てくれたよね!」と声をかけてもらえることや、知り合いからの紹介で学校やお寺のイベントに呼んでいただけることもあり、活動を通じて豊かなつながりが広がっています。

運営面では、2人の間で意見がぶつかることもありますが、とことん話し合うことで、互いが納得できる方向へ進めるよう努力しています。数多くのイベントを経験する中で、段取りやスケジュール調整、当日の運営にも慣れ、最近では大きなイベントもスムーズに進行できるようになり、自信がついてきました。

ただ、これまでマツダ財団や東広島市学園都市づくり交流会議などからご支援をいただきながら活動を続けてきましたが、今後も活動を継続していくためには、費用や人員の確保が大きな課題となっています。 

今後の目標は?

お二人) 今後も現在の活動を続けながら改善を重ね、提供するゲームの質や規模をさらに高めていきたいと考えています。
子どもたちやその周りの方々が、「これ、やりたい!」「もっと知りたい!」と自ら手を伸ばして楽しめる、そんな未来を一緒に育んでいきたいです。 

デジタルゲームが身近な時代だからこそ、“アナログゲーム”の魅力をもっと多くの人に伝えていきたい――そんな想いから、今後もさまざまな場での出展を予定しています。公式SNS等でイベントの告知を行っていきますので、皆様ぜひお気軽にお立ち寄りください!

(2025年6月取材/広報室K)

【お問い合わせ先】

広島大学広報室

E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp
(*は半角@に置き換えた上、送信してください)


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