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広島大学大学院人間社会科学研究科
助教 ジョン・リー・カンデラリア
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『20世紀東南アジアにおける戦争記念と国家建設』は、フィリピン、タイ、シンガポールという3つの東南アジア諸国が、戦争記念の取り組みをどのように国家建設に活用してきたかを探る一冊です。
植民地主義、世界大戦、独立運動、そして冷戦という歴史的背景のもと、本書はこれらの国々の戦争経験がどのように国家神話を形成し、国家の公式な語りを正当化してきたかを問いかけます。国家が主導して建設した記念碑や戦争記念施設の役割を検討することで、国家アイデンティティの形成、国家の正統性、市民の団結に与える影響が明らかにされます。これら3カ国の事例を通して、本書は記憶の実践の多様性と複雑性、国家の政策との関わり、そして国家建設の背景にあった国際的な文脈を浮き彫りにします。
戦争記念碑やモニュメントを主な分析対象としながら、平和と対立の時間的なダイナミクス、そしてこれらの国における「形ある歴史」の重要性を読み解いていきます。また、戦争記念の語りが英雄的なものから被害者的なものへと移行していく過程を批判的に考察し、記憶文化や社会全体への影響についても論じます。
東南アジアにおける戦争経験の記憶とその記念のあり方を扱った本書は、フィリピン、タイ、シンガポールの事例を通じて、戦争の記憶と記念の実践が東南アジアの政治的・社会的風景にいかに影響を与えてきたか、そして今も与え続けているかを読み解く貴重な研究です。東南アジア研究、歴史学、国際関係論に関心を持つ研究者にとって、大変興味深い内容となっています。
ジョン・リー・カンデラリアは、広島大学大学院人間社会科学研究科の国際平和共生プログラムの助教です。戦争やその他の人為的災害に関連する記憶と遺産の研究を専門とする歴史学者・平和学研究者です。
Moved by how Hiroshima’s memorials transformed unspeakable loss into a global call for peace, a Hiroshima University historian turns his gaze to Southeast Asia—unpacking what stories their war monuments enshrine, what they leave out, and what that means for peace and justice, as the world marks the 80th anniversary of the atomic bombing this year.
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掲載日 : 2025年07月04日
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