第160回学位記(博士)授与式

学長からのお祝いの言葉(第160回 学位記(博士)授与式) 2011.8.2

「志は高く」

本日、広島大学より13名の方に学位を授与させていただきました。誠におめでとうございます。学位を取得されるまでに積み重ねてこられました、多大な努力、熱意に対して心から敬意をささげるものです。

20世紀の人類社会は、科学技術の進歩により多くの恩恵を受けてきましたが、一方では食料・水・エネルギー問題に直面し、環境破壊・汚染、テロなどの新しい課題を生みました。21世紀は、私たち人類が一体となって、これらの課題解決に向けて取り組むことが求められています。中でも「知の共同体」としての大学の役割は益々重要になってきています。

我が国に目を転じてみますと、急速に進む少子高齢化社会、グローバル化社会は、21世紀社会の有り様を変えています。加えて、去る3月11日に発生しました東日本大震災は、東日本のみでなく我が国全体に大きな影響を与え、日本社会の価値観をも変えるような大きな変化になりつつあります。私たち一人ひとりが、この震災の犠牲の大きさを肝に銘じて、未来に向けて日本社会の再構築に全身全霊を賭して取り組まなければならないと思います。

21世紀知識基盤社会が真に目指すところは、これまで人類が育んできた「知」を活用して、人間一人ひとりのそれぞれの立場が尊重され、また、お互いに支え合うことで、健康で充実した心豊かな生活を営むことができる社会の実現であると思います。この度の皆さんの優れた業績が、これからの学術研究発展の大きな礎になり、ひいてはそれが人類の未来社会に貢献できますことを心より願っております。

これから社会に出て行く皆さん一人ひとりが、志を高く持ち、国際社会や地域社会のリーダーとして、あるいは組織や社会を支える有為なスタッフとして、それぞれに与えられた役割を果たすことが望まれます。

広島大学で高いレベルの学術研究を成し遂げ、学ばれた皆さんが、人間としてもなお一層成長され、地域社会や国際社会で重要な役割を果たされますことを心から祈念してお祝いの言葉といたします。

本日は誠におめでとうございます。

平成23年8月2日
広島大学長 浅原 利正


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