平成23年度(秋季学位記授与式)

学長式辞(平成23年度秋季学位記授与式)2011.9.22

「高い志の下で社会貢献を」

本日、広島大学より221名の方に学位を授与させていただきました。誠におめでとうございます。学位を取得されるまでに積み重ねてこられました多大な努力、熱意に対して心から敬意をささげると共に、この間の広島大学での学生生活が、皆さんの将来の人生にとり有意義なものになることを願っています。

学術研究の進歩は誠に急速で、かつ幅広く展開し、新しい研究領域も生まれています。これらの成果は人類社会の発展に大きな貢献となり、希望に満ちた未来社会構築に資するものでなくてはならないと思います。しかし、一方では人類社会に新しい課題をも生んでいます。それは環境破壊や汚染、エネルギー・水・食料などの資源の枯渇、原発事故、テロなどの人為的な新しい課題です。加えて、東日本を襲った大震災、この夏の紀伊半島に大きな被害をもたらした集中豪雨など自然災害も人類社会の大きな脅威となっています。21世紀人類社会は、克服するべき多くの課題に直面しています。社会のグローバル化が進展する中で、私たちが一体となって、これらの課題解決に向けて取り組むことが求められています。

学術研究の進歩につれ、21世紀人類社会は私たちが好むと好まざるとにかかわらず、グローバル化が一層進展していきます。そこでは、異文化理解を深めて、お互いが相手を受け入れることにより、「共存」することが求められています。国際平和構築は重要な人類共通の課題となっており、中でも「知の共同体」としての大学の役割は益々重要になってきています。

特に、去る3月11日に発生した東日本大震災は、東日本のみでなく我が国全体に大きな影響を与えています。グローバル化社会や高齢化社会の進展、過疎化、一極集中、などに伴う日本社会が抱えていた将来へ向けての重要な課題を私たちに明確に認識させたと思います。このことは結果として、日本社会の価値観をも変えるような大きな変化になりつつあります。私たち一人ひとりがこの震災の犠牲の大きさを正面から受け止めて、未来に向けて日本社会の再構築に全身全霊を賭して取り組まなければならないと思います。

21世紀知識基盤社会、未来社会が真に目指すところは、これまで人類が育んできた「知」を活用して、人間一人ひとりの立場が尊重され、お互いに支え合うことで、健康で心豊かな生活を営むことができる社会の実現であると思います。この度の皆さんの優れた業績が、様々な形で人類の未来社会への貢献につながりますことを心より願っています。

これから社会に出て行く皆さん一人ひとりが、「社会人の使命が社会貢献である」ことを肝に銘じて、志を高く持ち、国際社会や地域社会を様々な形で支える有為なスタッフとして、それぞれに与えられた役割を果たされますことを心から祈念して、お祝いの言葉といたします。

本日は誠におめでとうございます。そしてこれからの活躍を期待しています。

平成23年9月22日
広島大学長 浅原 利正


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