第166回学位記(博士)授与式

学長からのお祝いの言葉(第166回 学位記(博士)授与式) 2013.1.15

本日、広島大学より9名の方に学位を授与させていただきました。誠におめでとうございます。広島大学を代表して心からお祝い申し上げます。

このたび取得された学位の学術的価値は言うに及ばず、取得されるまでに積み重ねてこられた幾多の貴重な経験が、皆さんの今後の人生で輝き、力強い支えになることを期待しています。そして、皆さんの優れた業績が、21世紀知識基盤社会の根幹である学術研究発展の大きな礎となることを確信しています。

人類社会はグローバル化の進展とともに、大きく変化を続けています。長引くEUの金融不安、迷走する中東の民主化、広がる格差社会、環境汚染、エネルギー問題、テロや民族紛争、北朝鮮のミサイル発射、米国コネティカットの小学校での銃乱射事件。我が国においても、最重要課題である東日本大震災からの復興、領土問題、企業の競争力強化などのさまざまな課題を抱え、さらに私たちがこれまで経験したことのない超高齢化社会を迎えています。人類社会は未経験の領域に入り、常に新しい展開をしていますが、おそらくこのような変化は今後もとどまることなく続き、加速度を増すとともに、益々複雑性、多様性に富んでいくと思われます。そうした激しい環境変化の中で、皆さんは社会人として自らに与えられた使命を果たし、社会に貢献して行かなくてはなりません。

経済成長を最優先して発展してきた20世紀人類社会は、21世紀になりグローバル化が急速に進展する中でさまざまな歪みを生じています。これらの課題を克服するためには、異文化理解を深めるとともに、それを受け入れることのできる寛容な精神を育み、「共生」の実現を目指した国際平和構築が求められています。そして、20世紀社会とは別の新しい価値観に基づく社会を構築して行かなければなりません。21世紀社会に暮らす人々が、周りを思いやる気持ちを忘れず、心豊かな未来社会構築を目指すべきであると思います。そして、その中心をなすのは皆さんです。そういう気概を持って社会に参画して欲しいと願っています。

広島大学で学び、高いレベルの学術研究を成し遂げ、貴重な経験を重ねた皆さんが、これまでに培われた能力を活かし、応用力を磨き、人間として、社会人として大きく成長し、国際社会、地域社会を支える有為な人材として未来社会に貢献されますことを心から祈念してお祝いの言葉といたします。

本日は誠におめでとうございます。

2013年1月15日
広島大学長 浅原 利正

 


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