第3回 先端物質科学研究科 D2 酒池 耕平さん

写真:酒池さん

広島大学大学院先端物質科学研究科半導体集積科学専攻 量子半導体工学研究室(東研究室)

取材実施日:2013年1月22日

第3回の研究室訪問は、先端物質科学研究科半導体集積科学専攻、博士課程後期(D)2年の酒池耕平さんにお話を伺いました。

Q:研究を始めたきっかけは何でしたか?

私達の日々の生活を豊かにしてきた電子機器や電子デバイスの動作に興味があり、これらの動作原理や、より高性能化に向けた研究に携わってみたいと思ったことが、この研究を始めるに至った主なきっかけです。
現在では、(近年急速に普及した)液晶テレビの駆動素子である薄膜トランジスタ(TFT)の研究に取り組んでいます。

Q:D進学の決め手は?

博士前期課程において半導体プロセスの奥深さや面白さを日々の研究から感じ取ることができたことがDへの進学を決めた大きな理由の1つです。
電子デバイスを自ら作製しその中でより深く技術を学びたいという強い思いもD進学への後押しになったのかもしれません。

Q:研究内容はどのようなものですか?

近年、ニュースでもよく取り挙げられていますが、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイなど次世代エレクトロニクスの代表と考えられてきたフレキシブル製品が様々な技術革新により実現され始めています。
より高い性能を持つフレキシブルディスプレイを実現する為には、ディスプレイを構成している薄膜トランジスタ(TFT)の高性能化が大きな課題の一つとして挙げられます。
TFTの性能向上を実現する為に、現在では様々な半導体材料選定や新しい技術開発が盛んに行われています。私達はこの課題への新しいアプローチとして、中 空構造シリコン(Si)薄膜というものを用いた転写技術を独自開発し、この技術を用いてフレキシブル基板上に高性能Si TFTを実現する新たな技術開発を行っています。

写真:酒池さん

Q:研究室の特色を教えてください。

私達の研究室では、太陽電池やフラットパネルディスプレイといった大面積エレクトロニクス を支える薄膜半導体技術、および次世代半導体デバイスの実現に向けた材料・デバイス形成技術に関する研究を行っています。このように多くの研究テーマがあ り、その中で自分がやりたいと思う研究をさせてもらえることがこの研究室の大きな特徴の1つです。
研究室全体で研究を推進しようという考えが浸透していますので、テーマは多くありますが、テーマ間の壁はなく、非常に風通しの良い風土があることも大きな特徴の1つではないでしょうか。日々先 生と議論しながら構成員全員で研究が進められており、これが研究のスピードアップにも繋がっているように感じています。
また、研究成果を国内および国際会議で学生自身が発表できる機会があり、自身の研究を世界に向けて発信することができます。このような会議で発表できるように学生1人1人が自らの研究に責任を持って精力的に取り組んでいます。
ナノデバイス・バイオ融合科学研究所を利用させて頂くことも多くあり、他研究室メンバーとも密な交流ができコミュニケーション能力や幅広い知識が得られることも大きな特徴ではないかと思います。

写真:酒池さん

Q:研究環境はいかがですか?

環境としては非常に充実していると思います。学生自身が実際に手を動かして、製膜からデバイス設計・作製・評価まで全てを行うことができる環境が整っていますので、半導体プロセス技術を直に経験することができます。
このような環境がありますので、自ら設計したプロセスの問題点や課題を抽出することができ、解決策を試行錯誤することでより深く半導体プロセス技術を学ぶことができています。また、教科書には載っていないような事象に出会えることもよくあり、その時は特に研究が楽しくなりますね。

Q:研究のやりがいについて教えてください

一言では言い表せないですが、社会のニーズを的確に捉えた課題を抽出して、その課題を克 服できるような誰も考えたことのない新しいアイディアやコンセプトを創出する、アイディアを実現する為に様々な人と協力して1つずつ形にしていくことに研究の醍醐味や、やりがいを感じています。

写真:酒池さん

取材者:市川 壮太 (国際協力研究科 開発科学専攻 平和共生コース 博士課程前期2年)


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