遺伝子診療科Q&A

Q:遺伝子診療科とは、どのような診療するところなのですか?

遺伝と関連した病気について抱いている不安や悩みに対して、正確な情報を提供し一緒に考えるところです。人によって考え方は違いますので、1つの正解があるわけではありません。なるべく後悔しないような選択ができるように、お手伝いいたします。

Q:遺伝子診療科は、どんな人が受診できるのですか?

遺伝病や遺伝性疾患をお持ちの患者さんやそのご家族、結婚や出産に際して遺伝に関する不安や悩みをお持ちの方など、どなたでも受診できます。
具体的には、取扱い疾患をまとめたホームページの表をご覧ください。
お独りで悩まれるよりもお気軽にご相談ください。

Q:受診したい場合には、どのようにすれば受診できますか?また、受診の際に必要なものがありますか?

受診を希望、受診を迷われている場合には、一度、直接遺伝子診療科に電話ください。
簡単に相談内容を伺いいたします。相談内容を確認した後、来院していただいた方がよい場合には、予約をとります。また、現在かかりつけの病院の先生に受診を希望していると伝えれば、当院の地域連携室が窓口となり、病院間で予約や受診の手続きが出来ます。

地域連携室への手続きについては、当院のホームページに掲載しています。
受診の際には、かかりつけの病院からの紹介状があれば、相談する病気について出来るだけ詳しい情報が得られるので相談に役立ちますし、紹介なし初診の追加料金もかかりません(紹介状がない場合には、別途5,500円(税込み)をいただくこととなります)。
遺伝に関する相談なので、ご家族の構成やそれぞれの健康状態、病気の有無など詳しい問診があります。あらかじめこのような情報をまとめるか、家系図、母子手帳などでご用意いただくと、相談がスムーズです。

Q:家系に遺伝の疾患がありそうなので検査を希望していますが、遺伝子検査で分かるのでしょうか?

原因となる遺伝子異常がわかっている病気の場合、技術的には可能です。
どんな病気であるのか(病名は何か)の情報が必要です。また、国内ではできない検査もあります。

Q:高齢妊娠なので胎児異常が心配なのですが、妊娠初期の超音波検査で赤ちゃんの異常が分かるのでしょうか?

赤ちゃんの染色体異常は、お母さんの年齢が高くなるにつれて増加します。 ですから、母体年齢によりどのくらいの異常の確率があるかが分かります。
また妊娠初期の超音波検査で、染色体異常の赤ちゃんでは、染色体異常のない赤ちゃんに比べ、NT(Nuchal translucency、胎児後頚部浮腫)が厚い、鼻骨が見えにくい、などいくつかの特徴があることが多いことも分かっています。妊娠10週から15週くらいに、このような超音波ソフトマーカーと呼ばれる検査を行なうことで、赤ちゃんに異常の可能性があるかどうかを検査できます。
母体年齢や超音波検査で異常の可能性が高い場合には、赤ちゃんの染色体異常については、絨毛検査や羊水検査で確定診断が出来ます。

Q:羊水検査でお腹の赤ちゃんを調べることが出来ると聞いたのですが、どんなことが分かるのでしょうか?染色体や遺伝子を調べると、全てのことがわかるのでしょうか?

羊水検査は、主に赤ちゃんの染色体を調べる検査です。
人間の身体をつくる設計図にあたるものを遺伝子といい、その遺伝子のかたまりを染色体といいます。羊水検査では染色体の数の異常や、大きな構造の異常を調べることができます。ただし羊水検査で遺伝する病気や染色体異常のすべてが分かるわけではありません。また赤ちゃんの先天異常の原因には、遺伝子レベルの異常や環境因子(アルコール、放射線、薬剤など)、遺伝と環境が複合して影響するものなどいろいろあり、羊水検査で分かる染色体異常が原因であるものは全体の5~10%程度です。

Q:現在妊娠中で近院の産科婦人科病院へ通院しています。 その産科婦人科の定期健診で「羊水が少ない」と異常を指摘され、その言葉の意味がすごく不安です。遺伝とは直接的関係はないかも知れないのですが、不安な気持ちだけでも聞いていただけるのでしょうか?

遺伝子診療科は相談者の抱いている不安や悩みに対して、正確な情報を提供し一緒に考え、時間をかけて丁寧にカウンセリングを行うところです。もちろん、相談だけでも受け付けております。

Q:また、その不安が払拭できる検査等もアドバイスしていただけるのでしょうか?

もちろんです。
相談の内容によっては、専門の看護スタッフと各診療科ごとの遺伝専門医が最先端の正確な情報をもとに治療情報を提供しています。

Q:そちらで相談や検査をお願いした場合、現在通院して いる病院には戻りにくくなります。そういった場合、貴院もしくは他の病院を紹介していただくことは可能でしょうか?

必要性に応じて、そのような手配などもお手伝いします。相談者が少しでも不安を解消していただくためには、できる限りのサポートはしております。

Q:母体血清マーカーとか羊水検査について産科で質問したが、よく分かりませんでした。具体的にどういった検査なのでしょうか?

どれも、妊娠中期に行なう出生前診断の方法です。
母体血清マーカーテストは、赤ちゃんのいくつかの先天異常について、お母さんの血液検査で病気の確率が高いかどうかを調べるものです。以前は3種類の物質を測定するトリプルマーカーテストが使用されていましたが、現在は精度を上げるために1種類加え、4種類の物質でのクアトロテスト、クワッドテストなどが頻用されています。注意しなければいけないのは、母体血清マーカー検査というのはスクリーニング(ふるいわけ)検査で、確定診断は出来ません。ですからこの検査の結果はあくまでも一つの指標なのです。遺伝子診療科では産科専門の臨床遺伝専門医がこの検査について詳しく説明し、検査の精度や結果の解釈についてよく理解して頂き、個々の妊婦さんに対しどういう指標になるか、意義があるかどうかなど時間をかけて相談に対応しています。
羊水検査については上記回答をご覧ください。

Q:第一子が生まれてからずっと病気ばかりしていて心配です。次の子ども病気しやすい子になりますか?それは遺伝するのでしょうか?

一般的に子どもは感染を予防する白血球の機能(免疫能)が未熟であるため、感染症を繰り返します。感染症を繰り返しながら免疫能が成熟し、ある程度成長すると、病気をしなくなります。このように子どもが軽症の感染症を繰り返すのはある程度自然経過であり、基本的には遺伝は関係しません。しかし、まれに免疫能が生まれつき低く入院を必要とするような重症感染を繰り返す遺伝性の病気があります。そのような場合にはご相談ください。

Q:親子鑑定はそちらで出来るのでしょうか?

個人的な希望による親子鑑定は行なっておりません。
本人や家族の生命・病気・健康などに関連するような遺伝の問題であれば、相談できます。

Q:遺伝子診療科の受診や検査は、すべて保険がきかないのでしょうか?保険が使えない理由を教えてください。

すべて保険が使えないということはありません。
保険適応の検査は、筋ジストロフィー・表皮水疱症・家族性アミロイドーシス・先天 性QT延長症候群・脊髄性筋萎縮症・中枢神経白質形成異常症・ムコ多糖類I・II型・ゴーシェ病・ファブリ病・ポンペ病・ハンチントン舞踏病・球脊髄性筋萎縮症が疑われる場合のみです。検査料金は4000点(1点10円)ですが保険によって、自己負担額が変わります。(無料~3割) 上記の検査を行ったときに限り、カウンセリング料金も保険適応となります。
上記の検査以外の疾患や上記の疾患の相談であっても、保因者(病気の遺伝子を持っている可能性のある方)に検査やカウンセリングをする場合は、すべて自費となります。


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