広島大学病院は、難治性てんかんの診断・外科治療における新しい手法:定位的深部脳波検査(SEEG)を素早く正確に行える「てんかん手術支援ロボット」を導入しました。国内のてんかん外科では、全身麻酔下で開頭して頭蓋内に電極を留置していた従来法にSEEG方式が加わりました。SEEGは、頭皮上から頭蓋骨に小さい穴を開けるだけで脳深部へ電極を挿入する方法です。このため患者さんへの負担が大幅に軽減できます。
また、脳科学分野での脳機能の解明やこころ・感性に関する研究にも応用が期待されています。導入は西日本初(全国3例目)です。
てんかんは、120人に一人の割合で発症する大脳の慢性疾患です。適切な治療を受ければ7、8割は薬剤で発作をコントロールできます。しかし2、3割は薬剤の効かない難治性で、外科的療法が検討されます。
検査は、まず非侵襲的な脳波やMRI、PETなどで実施。それでも診断が難しい場合は頭蓋骨を開頭して電極留置を行っていましたが、感染のリスクがあり、回復にも時間がかかっていました。SEEGは開頭を要しないため利点がありますが、ロボットなしでは平均6時間近くかかり(ロボット下では2時間余り、留置部位にも制限がありました。
支援ロボットの導入で患者さんの身体的な負担が減ることになります。欧米ではすでにロボット導入が標準化しています。
患者負担少ないてんかん診断へ手術ロボット導入(2022年6月30日記者説明会)