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視覚障害のある子供たちが学習したり、生活したりする上でぶつかっている困難を科学的に解明し、タブレットを活用した教育方法の開発をしている 教育学研究科 氏間和仁准教授の研究を紹介します。

タブレットで見えにくさをサポートする教育方法の開発
スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器は、私たちの生活になくてはならない身近なものになってきました。
特別支援学校の教育現場で使われる教材にも、タブレットを活用したものが増えてきています。

顕微鏡の接眼レンズにスマートフォンを取り付けて大きく表示

画像はタブレット上の操作でさらに拡大可能

拡大鏡(左側)の画像をタブレットに表示

肢体が不自由な方のための入力用の機器(黄色と緑色の丸い部分を押す)でタブレットを操作している様子
氏間先生によると、視覚障害者がタブレットを活用するメリットは、最初から見ることをサポートするアプリが入っている、キーボードなどの入力用の機器を手軽に接続できる、持ち運びができるなど様々。
例えば、黒板に書いた文字をタブレットのカメラで撮影し、その画像を大きく拡大して読む、GPS(位置情報)を使って道案内を聞きながら目的地に向かうなどの使い方があるそうです。
これまで高額な福祉機器でしか対応できないと思われていたことの一部は、タブレットの様々な機能を組み合わせて手軽に実現できるようになりました。
氏間先生は、子供たちの「苦手」を分析し、タブレットを活用してそれをサポートすることで、効果的な学習ができる教育方法を開発しています。
子供たちが少しでも楽しく学べるように
通学中の乗り物の中で本を読む。誰もがしていることですが、弱視の子供たちは拡大鏡を使って本を読むので乗り物酔いをしやすいそうです。それが、タブレットで文字を拡大しながら読むことができるようになると、乗り物酔いが少ないし、なによりタブレットで本を読む姿はルーペなどを用いるよりも目立たないので、読書をより楽しめるようになったという感想もあったそうです。

慶応義塾大学中野研究室との共同研究で開発中の教科書デジタルデータ閲覧用iOSアプリ (UDブラウザ)
氏間先生は、盲学校で教鞭をとっていた経験なども交えて、特別支援学校に通う子供たちが、環境の整っている学校内だけでなく、通学路や家でも楽しく学べる方法の実践に向けた取り組みをしています。
教育相談
http://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/src/index_j.html#kyousou

ゼミの様子(特別支援学校の教諭を目指す学生らが学んでいます)
この「見やすくする」を支援する技術は、発達障害のある子供にも応用され、学ぶことの楽しさを思い出したり、試験の成績が上がったりなど、学習成果も現れつつあります。
チャレンジできることをもっと知ってほしい
「少しの工夫で、諦めていたことにチャレンジできることを、多くの方に知っていただきたい」と氏間先生は話します。
高齢化の進む日本では、老化や病気により見え方に困難を有する方が増加すると考えられています。
眼科病院での教育相談活動を通じて、タブレットやスマホなどの身近な道具を活用することで、生活を豊かにしたり、質を高めることが可能であることをより広く伝えることにも力を入れています。

「難病(ALSなど)や重度障害者のための支援ICTのフェスティバル」の来場者に、研究室の学生が説明する様子
広島大学 大学院教育学研究科特別支援教育学講座
准教授 氏間 和仁