肝疾患センター

メニュー

肝疾患センターについて

広島大学病院は、2007年より「肝疾患診療連携拠点病院」として肝疾患相談室を開設し、肝疾患に関する診療体制の整備や地域医療水準の向上に取り組んでまいりました。これらの取り組みにより、肝がんの75歳未満年齢調整死亡率は全国平均に近づきつつありますが、依然として高い水準にあることが課題となっています。 このような状況を踏まえ、肝疾患診療のさらなる充実と発展を目的として、2024年4月に肝疾患センターを設立しました。診療科や職種の枠を超えた医療提供体制を強化し、肝疾患診療連携拠点病院および肝疾患相談室の機能をより一層充実させるとともに、医療従事者のみならず広島県民の皆さまに対して肝疾患に関する正しい知識の普及・啓発を行い、ウイルス性肝疾患の撲滅を目指して取り組んでいます。

主な肝疾患とその治療

  1. B型慢性肝炎
    B型肝炎ウイルスの持続感染があり、肝機能異常(ALT値30 U/L以上)を認める場合、または肝線維化の進行が疑われる場合には、抗ウイルス療法が検討されます。治療には、インターフェロン製剤(注射)や核酸アナログ製剤(内服)があり、現在は主に核酸アナログ製剤による治療が行われています。治療によりウイルスの増殖を強力に抑制することが可能ですが、体内から完全に排除することは難しいため、長期間にわたる内服治療が必要となります。
  2. C型慢性肝炎
    C型肝炎の治療は近年大きく進歩しており、慢性肝炎の患者さんでは8~12週間の内服による抗ウイルス療法で、95%以上の方にウイルス排除が期待できます。肝硬変へ進行した患者さんにおいても、多くの場合12週間の治療が可能で、約90%のウイルス排除率が報告されています。副作用が少なく安全性の高い治療であることから、現在ではほぼすべてのC型肝炎ウイルス感染者が治療対象となります。ただし、ウイルス排除後も長期間を経て肝臓がんを発症することがあるため、定期的な診察・検査が重要です。
  3. 脂肪肝
    食生活の変化などにより、脂肪肝の患者さんは世界的に増加しており、現在では4~5人に1人が脂肪肝であるといわれています。脂肪肝は高血圧、糖尿病、脂質異常症などを合併することが多く、自覚症状がないまま肝硬変や肝臓がんへ進行する場合もあります。治療の基本は運動療法や食事療法、合併症の管理ですが、近年では新たな治療薬の開発を目的とした治験も行われています。治験にご関心のある方はご相談ください。
  4. 肝硬変
    慢性的な肝障害が続くと肝臓の線維化が進行し、肝硬変へと進展します。肝硬変に至ると回復が難しい場合も多いため、慢性肝炎の段階で早期に治療を開始することが重要です。肝硬変では、下肢のむくみや腹水、食道・胃静脈瘤、肝性脳症などの合併症が生じることがあります。これらに対して、内視鏡治療やカテーテルを用いた治療など、適切な専門的治療を行っています。
  5. 肝臓がん
    肝臓がんは肝線維化の進行に伴い発症リスクが高まりますが、B型肝炎ウイルス感染者では線維化が軽度でも発症することがあります。治療には、外科的切除、ラジオ波・マイクロ波焼灼療法、カテーテル治療、薬物療法、肝移植などがあり、がんの進行度や肝機能の状態を総合的に評価して治療方針を決定します。近年では、進行肝臓がんに対して免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療も行われ、予後改善が期待されています。
  6. 慢性肝不全
    Child-Pugh分類で非代償性肝硬変が疑われる患者では、肝移植(生体肝移植・脳死肝移植)が治療選択肢となります。脳死肝移植の適応評価は原則としてChild-Pughスコア7点以上(B以上相当)を基本とし、病態により例外規定もあります。2025年7月改定で脳死肝移植レシピエントの年齢上限は70歳未満とされています。アルコール性肝障害では禁酒期間などの条件を含め、全身状態・合併症・社会的支援体制を含めた詳細な評価の上で移植適応を慎重に判断します。
    また、2024年7月より小児肝移植に関するワーキンググループを設置し、当院における小児肝移植実施に向けた体制整備を進めてきました。現在は、診療体制・手術体制・周術期管理体制が整い、胆道閉鎖症などにより肝移植が必要となった小児患者さんの受け入れを開始しています。 

医療機関の方へ

肝疾患センターでは、ウイルス性肝疾患をはじめ、脂肪肝などの代謝性肝疾患、自己免疫性肝疾患、肝硬変、肝臓がん、肝不全まで、あらゆる肝疾患に対応しています。診療は消化器内科(肝臓研究室)が中心となって行います。ご紹介の際は、地域連携室を通じて「消化器内科(肝)」宛にご依頼ください。
肝移植の検討が必要な成人・小児患者さんのご紹介も受け付けております。小児の場合は小児外科、成人の場合は消化器・移植外科へご紹介ください。
診断や治療方針の決定が難しい症例については、複数診療科によるカンファレンスで検討し、治療開始後はかかりつけ医の先生方と連携しながら診療を行います。

地域連携の連絡先

肝疾患センターに関するお問い合わせ先

肝疾患相談室
TEL:082-257-1541
受付時間 月曜日~金曜日(祝祭日を除く) 10:00~12:00、13:00~16:00


up