広島大学は、2017年度から、教養教育の一環として、スポーツ、芸術、科学、ビジネスなど各界で活躍されているリーダーをお招きし、学部新入生を対象に講演を行っています。
本学では、大学で専門的な分野の学識を深めるのと同時に、幅広い教養、すなわちリベラル・アーツを生涯にわたって培っていくことが何より大切と考えています。
世界で活躍するリーダーたちが、どのような学生時代を過ごし、困難を乗り越えたのか。
大学での新しい一歩を踏み出す新入生に、間近で生きざまやスピリッツに触れてもらい、ワクワクする何かをつかんでもらうことを目的としています。
2022年度は、以下の方々に講義を行っていただきました。
自身の多彩な経験や活動、世界の情勢などの話題を交えながら、様々なことに興味を持ち、疑問を追求することが将来思わぬところで役立つこともあると語り、幅広い分野の教養と知識、そして広い視野を身に付けることの大切さを学生に語りかけました。
AIがどのように医療の現場にかかわっているのか、診断や創薬、カウンセリングなどについて、関連する論文や実例を挙げながら、AIの技術が身近で次々に活用されている現状や、一方で懸念される問題点について語りました。
「ゲノム編集」や「台湾クライシス」等、現代社会における喫緊の課題について、実際の作品を通じて分かりやすくお話しいただき、これから大学で学び、社会に出ていく学生にとって、今自分が生きている時代がどういう時代なのか、様々な課題を自分はどのように捉えるのかを強く意識する機会となりました。
「ピンチをチャンスに変える生き方」をテーマに、テレビ局記者やフリーディレクター時代に抱いた疑問をきっかけに「死刑」についての取材を始めたことを語り、自身の著書を紹介しながら、多くの関係者への取材を通して見たこと、聞いたことを学生たちに伝えました。
現代では、個人と集団が切り離され、情報のみによって繋がることで共感能力を使う機会がなくなっていると語り、いつでも簡単に必要な情報を得ることができる現代の学生たちに山極氏は、今や大学は知識を学ぶのではなく、共感力を高めていく場である、また、それらを育み自分をアピールすることができる能力を身に付けたグローバルな人材となってほしいとメッセージを送りました。
「Challenge to Innovation ~世界に羽ばたく。教養の力~」をテーマに、「これからの主役は20代」と学生たちに呼び掛けました。世界、特に欧米のIT教育と比較して日本が大幅に遅れをとっており、これからの国際社会では、そこから世界と競争していかなければならないことを語りました。
「スポーツと人材育成」をテーマに、これまでの数々のアスリートや関係者への取材の話を紹介されました。Jリーグとプレミアリーグ、プロ野球とメジャーリーグの市場規模の比較や、多くの工夫を施した新球場建設による広島東洋カープの集客戦略など、学生にも身近なプロスポーツを例に、厳しい状況からも様々な視点で可能性を探り打開しようとすることが大切であると語りました。
広島大学の歴史や本学の特徴的な教育、様々な留学制度、世界に誇る研究拠点等を紹介しました。また、自らの研究人生を振り返り、大学卒業後の進路決定や留学、専門とする研究分野の選択等、人生の大きな岐路に立った時にはいつも恩師や友人らの存在に大きく影響を受けたと語り、自分を成長させてくれた人々との出会いに感謝していると述べました。
豊富なご経験を持つ茂木氏自身、今でも常に模索していると語り、同じようにこれから様々な選択に直面していく学生達には、これから何をしていくのか、それを探していく場所が大学であってほしいと語りかけました。
時期を待っていては遅すぎる時もあり、自分にとって大切な判断はすぐにでも行わなければチャンスを逃してしまうこと、臆することなく行動してきたことから著名な人達との出会いが生まれ、更なるチャンスを掴んできたこと、また、広い視野で専門外のことにも積極的に挑戦し努力されてきたことをご自身の経験を基に語りました。
かけがえのない人生を送ることは、自身の時間を大切にすることであると語り、大学での4年間、何かに取り組む際には必ず目的を持ち、気づきを得ることを意識することで、人間として大きく成長できる、失敗を恐れるのではなく、そこから多くのことを吸収してほしいとメッセージを送りました。
講演は対談形式で行われ、学生からの質問に野村氏が回答しました。幼少期から学生時代、プロ野球選手時代のエピソードを紹介され、その後の監督時代のお話では、チームをまとめる上で大切にされていたことを語りました。