平成24年度(学位記授与式)

学長式辞(平成24年度学位記授与式)2013.3.23

本日、学位記を受けられる卒業生、修了生の皆さん、誠におめでとうございます。平成24年度学位記授与式を挙行するに当たり、広島大学を代表して、心からお祝い申し上げます。また、本式典にご列席のご家族ならびに関係者の皆様にも衷心よりお慶び申し上げますとともに、日頃からの本学へのご支援に深く感謝申し上げます。また、ご多忙にもかかわらず、本日の学位記授与式にご臨席賜りましたご来賓の皆様方にも日頃のご指導、ご支援に対し厚くお礼を申し上げます。

iPS細胞の臨床応用やヒッグス粒子の発見など学術研究は目覚ましい発展を続け、人類社会は益々便利になり、物質的に豊かになっています。一方で、大気汚染、環境破壊、テロ、地震、津波や原発事故などの人為的災害、自然災害が相次ぎ、世界は大きく揺れ動いています。学術研究の急速な進歩は、物質的な豊かさと便利さなど、私たちに多くの恩恵をもたらすと同時に、それに伴う大きな代償も生じているように思います。
このような環境の中で、皆さんは広島大学での学生生活を通じて幾多の経験を重ね、広島大学の歴史に大きな足跡を遺されました。その業績は永遠に記録されていきます。

人類社会はボーダレス化、グローバル化が進み、これから社会に出て行く皆さんには、このような環境変化を受け入れ、国際社会と関わりつつ活動することが求められます。皆さんが学生時代を通じて身に付けた幅広い教養、知識・知恵、経験を礎として、自国の歴史、固有の優れた文化・芸術を理解し、身に付けた上で、異文化理解を深め、異なる考えを受け入れる寛容さが求められています。グローバル社会の基盤となる国際平和を実現するためには、先人のたどった歴史を振り返り、その知恵を活かして、新しく生まれた人類共通の課題解決に向けて全力で取り組まなければなりません。

学生時代には何事にも果敢に挑戦することを勧めましたが、失敗の方が多かったかと思います。しかし、むしろ失敗の経験から学ぶことは多く、それが皆さんを大きく成長させてくれます。何事にも挑戦しなければ貴重な経験は生まれません。これからの人生において、社会の一員としての役割を自覚し、他者への思いやりを忘れず、人類社会への貢献という高い志の下で、失敗を恐れぬ勇気を持つことを皆さんに期待しています。社会での様々な困難に遭遇しても、広島大学で学んだ誇りを忘れず、自らの判断と責任でそれを克服できる強い人間に育っていくよう願っています。社会活動は人間の繋がりが基本です。広島大学での学生生活を通じて形成された人の繋がりを大切にし、今後も地域社会、国際社会で人間同士の絆を育みつつ、支え合って、充実感あふれる人生を展開してください。

新しい門出を心から祝福するとともに、皆さんの前途が希望に満ちた未来に繋がることを祈念し、お祝いの言葉といたします。

平成25年3月23日
広島大学長 浅原利正


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