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通訳を通じて平和を再認識 将来を模索~G7広島サミット学生ボランティア(通訳)~

(左から:中村さん、江田さん)

2023年5月19日から21日まで開催されたG7広島サミット(主要国首脳会議)では、おもてなしボランティアと通訳ボランティア合わせて、広島県内21の大学や短大、高専から総勢123人が、学生ボランティアとして活躍しました。

本学からはおもてなしボランティアに15人、通訳ボランティアに17人の総勢32人が参加しています。

通訳ボランティアとして参加された中村 龍之介(なかむら りゅうのすけ)さん(総合科学部国際共創学科・2年)と江田 陽哉(えだ はるや)さん(総合科学部国際共創学科・4年)に、参加を決めた経緯や活動時の様子などを伺いました。

参加されたきっかけについて教えてください。

江田さん)この度広島でG7サミット会議が開催されるということで、関心を持っていたところ、大学からのお知らせでボランティアの募集を見つけました。このような機会は滅多にない、そして、自身の語学力も生かせると感じ、思い切って通訳ボランティアに応募しました。
そもそも私は、父の仕事の都合上、アメリカのサイパン島に生まれ、高校卒業まで18年間過ごし、大学受験を機に来日しました。そのため、自分自身にとっては、日本語が第二言語です。今も漢字は読みづらく、日々習得中です。普段は日本人の両親とは日本語で、兄とは英語で会話をしています。

中村さん)ミャンマー人の母というルーツがあり、自身はミャンマーで生まれ育ち、高校進学を機に4年前に来日しました。父の仕事は旅行業で、父はミャンマー語が苦手なため、時には仕事に付き添って同時通訳をした経験もあります。お客さんとの会話の中で、英語も自然と身に付き、現在は3カ国語に精通しています。このような様々な経験が受験にも生きたと感じており、大学でも可能な限り多くの経験をしたいという思いから、応募しました。

実際の活動を通し、どのようなことを感じましたか? 

中村さん)サミット期間中、国際記者団向けの外務省主催プレスツアーに同行し、プロの通訳者のお手伝いをし、 翌日はケニア放送公社のスタッフに付き添い、平和記念公園、広島平和記念資料館を見学する等、取材先を回りました。初日は補助でしたが、翌日は記者の方と一対一での対応が求められました。
通訳には、さまざまな現場により異なる専門知識が求められます。プロの通訳者と行動を共にし、たとえ専門分野でなくとも期待に応えようとする真摯な姿勢に感銘を受けました。

江田さん)ドイツやイタリアなどの各国先遣隊を歓迎する食事会に参加しました。各国の大臣や広島県知事など、各国関係者が多く参加する場で、普段は決してお会いできない方々に自ら挨拶をした際にも、とても気さくに話してくださったことが嬉しかったです。海外からの関係者と英語で、自国での仕事の話を聞いたり、雑談をして名刺交換をしたりすることができて、とても楽しかったです。

開所式での記念撮影(提供:外務省)

中村さんとケニアテレビ局のクルー(提供:中村さん)

特に印象的だったことは何ですか?

江田さん)国際メディアセンターでの開所式に通訳ボランティア代表として参加し、岸田首相などを前にスピーチをしたことです。日本語でのスピーチのため、自身の頭の中で英日翻訳をして、友人らにも確認を取りながら原稿を作成しました。当日は開始の約4時間前から準備し、何度も繰り返し練習をしました。そして迎えた本番、最後の最後で「G7に貢献していきたいです」の「貢献」の漢字の読み方がわからなくなり、緊張で頭が真っ白になりましたが、後ろの方が助け舟を出してくれて何とか事無きを得ました。

中村さん)ケニア放送公社の方と小学校を訪れ、被曝体験者から直接お話を聞いたことです。
直接お話を伺うのは今回が初めてだったので、大変印象深く、悲惨な状況を直接聞けるのは私達が最後の世代といわれる中で、貴重な経験ができたと感じています。また、被爆者の方に対して、背景を考えると何となく近づきがたいという先入観がありましたが、今回関わった方々はとても物腰が柔らかく優しい方々で、先入観がなくなり、とてもいい経験となりました。

この経験を、将来どう生かしていきたいですか?

中村さん)今回改めて、平和について考える機会となり、現在学んでいる平和を維持するための様々な取り組みについて、今後も学び考えていきたいと思うとともに、現在の学科を志望した時からの「国際的に活躍したい」という思いがより強くなりました。ミャンマーの血を受け継ぐ私が、世界で活躍することが、ミャンマーの国際的地位の向上にも寄与できるのではと考えています。

江田さん)代表スピーチで英日翻訳の経験ができ、日本語をもっと勉強したいという思いを強くしました。また、世界中から集まった人と交流する貴重な機会で、日本と世界とのかかわり方や、世界がどう日本を捉えているのかを学べるよい機会となりました。国際化が進む社会で自分には何ができるのか、将来についても考えていきたいです。

取材時の江田さん

取材時の中村さん

(2023年6、7月取材/広報室)

【お問い合わせ先】

広島大学広報室

TEL: 082-424-6762
E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp
(*は半角@に置き換えた上、送信してください)


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